会長挨拶

貧乏性から貧乏症へ

日本貧乏症学会の初代会長を仰せつかりました福富輝子です。2001年に活動を開始した貧乏性医学研究会はその後も着実な発展を遂げ、2008年に社団法人 日本貧乏症学会として新たな一歩を踏み出しました。高齢化社会を迎えた我が国において、医療においても経済性がこれまで以上に重視されております。質の高い医療と継続可能な国民皆保険制度を両立する上においても、本学会に対する期待は急速に大きくなっている考えられます。これを踏まえ、本学会の中期アクションプランが策定されました。

基礎研究の活性化

有効な治療法の開発には病態の解明が不可欠です。小金井らが発見したBINBOペプチドは家族性貧乏症の発症に密接に関与しており、その受容体作動薬は特異的治療薬として期待が高まっています。しかしながら、ほかのタイプの貧乏症に関しては依然として不明な点が多く、さらなる基礎研究が求められています。本学会としても病態解明に向けた取り組みを強力に推進し、基礎から臨床までシームレスなシステム作りに尽力していきます。

治験の推進

貧乏症の治療は行動療法と食事療法が基本となりますが、これらが十分奏効しない患者には薬物療法が適応となります。現時点では抗不安薬の適応外処方が行われておりますが、奏効率は低く副作用が問題となっており、より特異的な治療薬の開発が喫緊の課題と言っても過言ではありません。本学会の重要プロジェクトのひとつとして、ゲノム創薬に基づいて開発されたBB-6741の臨床試験を強力に推進し、貧乏症患者に1日も早く有効な薬を届けられるよう産学連携で取り組んでまいります。

経済発展に向けて

サブプライムローン問題の遠因として貧乏性が関与していることは今や経済学の定説となっています。また、国内では本来達成されるべきGDPの8%が貧乏性によって消失しているとの試算もあります。本学会としても医療経済にとどまらず、国全体ひいては世界の経済発展に向けた貢献を目指し日々努力して行きます。

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